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風力発電とは?仕組みとメリット・デメリット、日本の普及率を解説<日本英语普及率>

風力発電とは?仕組みとメリット・デメリット、日本の普及率を解説

2023年10月13日、アメリカ政府は今後4年間で東海岸、西海岸などの7つの地域で大規模な風力発電設備を導入することを発表しました。また、バイデン政権は同年6月にも、メキシコ湾における洋上風力発電の開発に向けて評価を開始しています。

こうした取り組みを通して洋上風力発電を普及させ、2030年までに1,000万世帯以上の電力をまかなうことを目標としています。

風力発電を普及させる動きはアメリカだけでなく世界各地、もちろん日本でも見られます。

なぜ世界ではこれほどまでに風力発電に注目し、力を入れているのでしょうか。

この記事では風力発電の基礎知識から世界の普及状況、SDGsとの関係まで紹介していきます!

目次

風力発電とは?

風力発電とは、風の力を利用して電力を起こすシステムのことです。

では、次に風力発電の仕組みについてみていきましょう。

風力発電の仕組み:一般的な風力発電はプロペラ式

風力発電における発電の仕組みは、風車の種類によって異なりますが、最も一般的なものが、大きな羽(ブレード)がついたプロペラ式と呼ばれるものです。

プロペラ式の風力発電機では、羽の部分(ブレード)に風が当たることで回転、タワー内部で回転力を電気に転換して発電します。この時、風車の羽の位置が高いほど、上空で拭いている強い風を受けやすく、発電効率を上げることが可能です。

そのため設置する際には、その場所での風向きや風の強さなど、最大効率で発電するために、念入りな調査が行われます。

また、風力発電設備を設置するためには年間の平均風速が7m/s以上あることが目安とも言われています。

風力発電が注目されてる理由とメリット

もともと世界には化石燃料を利用した火力発電や、核分裂反応を利用した原子力発電など様々な種類の発電方法があります。

そのな中で、風力発電が注目される理由は、

燃料が不要環境への負荷が小さい他の再生可能エネルギーを利用した発電方法より、発電効率が良いが小さい夜間の発電も可能

などが挙げられます。1つずつ確認しましょう。

①燃料が不要

まず第一に挙げられるメリットは、燃料を利用せずに発電できるという点です。

発電するために石炭や石油などの燃料を購入する必要がないことで、資源が枯渇することもなく、持続可能な発電を実現します。

②環境への負荷が小さい

発電する際に、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しないため、地球への負荷が少なくて済みます。

また、砂ぼこりなどの粉塵被害や有害物質を排出することもなく、周辺環境へ健康被害を出すこともありません。

③他の再生可能エネルギーを利用した発電方法より、発電効率が良い

近年、風力などの地球にある自然の力は、再生可能エネルギーと呼ばれ、温室効果ガスを排出しない低炭素エネルギーとして注目されています。

再生可能エネルギーの種類

風力の他に、太陽光・地熱・バイオマスなどが挙げられます。

これらの再生可能エネルギーのなかでも、風力発電は効率よく発電できると考えられています。

風力発電の発電効率は、平均20~40%といわれています。(理論上最大約60%の発電効率が期待されていますが、風車が回る際の摩擦などによるエネルギー損失があるため。)

日本でも一般的に導入されている太陽光発電の発電効率が平均10~20%であるため、風力発電は比較的無駄のない発電方法であることが分かります。

④夜間の発電も可能

2023年の資源エネルギー庁の発表によると、再生可能エネルギーの中では、太陽光発電が最も普及していますが、曇りや雨といった悪天候の日、夜間には発電できないデメリットがあります。

一方、風力発電は太陽光発電とは違い、風さえあれば夜間でも発電が可能です。

風力発電のデメリット

メリットばかりのように見える風力発電ですが、デメリットも抱えています。

①設置場所が限られる

風力発電の設備を設置するためには、

1年を通して風の吹き方が安定している大規模な設備が設置できるほどの広さがある周辺地域の住民に騒音被害を与えない周辺地域の景観を損ねない

といった条件を満たしている必要があります。

このような条件を全て満たしている場所は限られています。特に、陸上で設置する場合には、周辺地域の住民から受け入れてもらう必要があり、強引な風力発電誘致の計画は、その後の苦情や反対運動などのトラブルにつながります。

②発電量が安定しない

燃料を投下するだけでいつでも発電できる火力発電などとは違い、風力発電は自然の状況によって稼働率が左右されるため、発電量が不安定であることも課題です。(例えば、安定した風の強さがないと必要な電力量を発電できないなど)。

また、台風や地震などの自然災害が起こると、設備が破損することがあり、修理のために稼働を止めなくてはいけません。

③導入・運営に多大なコストがかかる

風力発電を導入・運営する際には、様々なコストが発生します。具体的に見ていきましょう。

導入にかかる資金的コスト

風力発電設備を導入する際には、

開発・設計費建設費送電網への接続費環境影響評価費(後ほど説明)

など、多大な資金的コストがかかります。

具体的には、1,000世帯に電気を送電する風力発電設備を導入しようとすると、初期費用だけで約5億6千万円が必要になると考えられています。

導入にかかる時間的コスト

さきほど、風力発電を導入する際に必要な費用のなかに「環境影響評価費」という項目がありました。

これは、風力発電の設備が周囲の環境にどのような影響を及ぼすのかを調査するための費用で、評価項目には「騒音」「電波障害」「生態系」「景観」などが含まれています。

専門的な知識が必要になるため、日本気象協会をはじめとする専門の環境コンサルティング機関・会社に調査・分析を依頼するのが一般的で、この手続きだけで、3~4年かかってしまうのです。

他にも、導入前に「立地調査」や「風況観測」(1年間にどのくらいの風が吹くのかなどの調査)、「法規制への確認」など、複雑な手続きをいくつも行わなければなりません。

実際に操業を開始するには、計画が始まってから4~7年、大きい規模のものだと10年ほどかかるといわれています。

こうしたことから、新しい風力発電設備を導入するハードルはとても高く、導入計画が決まったとしても運用までにとても長い時間が必要です。

運営にかかるメンテナンスコスト

風力発電設備は自然の影響を強く受けるため、部品の状況を確認する定期メンテナンスや、突発的な破損に対する緊急メンテナンスが大切で、その都度コストが発生します。

先ほどの例と同様、1,000世帯に送電する風力発電所の場合、年間1,200万円のメンテナンス代が必要になると言われています。

風力発電には環境に優しい再生可能エネルギーとしての魅力がある反面、実用化するには様々なデメリットを抱えており、これらの課題に対してどのように対応するのかを考えていかなければいけません。

風力発電の種類

風力発電は陸上、水上どちらにも設置可能です。

陸上風力発電

私たちが一般的に思い浮かべる、山や海辺に立っている風力発電機は「陸上風力発電」と呼ばれる方式です。

一定以上の風速がある広い土地が向いているとされ、日本では北海道や東北、九州に設置されています。

洋上風力発電

水上に設置する場合は「洋上風力発電」と呼ばれていおり、海や湖などに風力発電の設備を設置する方式です。

地形や建物などによる影響が少なく、周囲に住民もいないケースが多いといったメリットがあります

「着床式洋上風力発電」と「浮体式洋上風力発電」の違い

また、洋上風力発電のなかでも「着床式」と「浮体式」の2種類に分けられるため、簡単に違いをまとめました。

着床式浮体式水深60メートル未満の海域への設置が適している水深60メートル以深の海域でも設置可能

安価で建設できる着床式が採用されることが多く、特にヨーロッパで積極的に採用されています。

海外や日本における風力発電の普及率

ここまでの内容を踏まえて、海外の風力発電の普及率とその理由、具体事例を見ていきましょう。

海外での普及率

ここでは環境意識の高いヨーロッパ諸国であるイギリス、デンマークとアメリカの事例をピックアップしました。

【大規模な洋上風力発電設備の開発】イギリス

陸地の小さい島国イギリスでは洋上風力発電が盛んです。

例えば、Hornsea One(ホーンシーワン)洋上風力発電所ではヨークシャー海岸沖にて、約170基の風力発電機が100万世帯以上分の電力を供給しています。

また、アイリッシュ海沖では、Walney Extension(ウォルニーエクステンション)と呼ばれる80基以上の風力発電機が設置された洋上風力発電所があります。

これらの大規模洋上風力発電施設の導入によって、世界の洋上風力発電による発電量のうち約30%はイギリスによるものとされています。

イギリスは10年前までは、火力発電が多くの割合を占めていたにもかかわらず、現在では風力発電による発電量は中国に次ぐ世界2位の風力発電国家となりました。

イギリスでは洋上風力発電に対する投資商品が認められており、風力発電事業者は投資家からの資金提供を受けることが可能です。これにより市場の競争が生まれ、事業の活性化を促していることも、風力発電の普及に影響を与えていると考えられます。

【住民主体の風力発電設備】デンマーク

デンマークは2023年時点で、国内で必要な電力のうち47%以上を風力発電によってまかなっているとされています。2

これは世界的に見ても破格の割合で、他の主要国を抑え世界1位です。

こうした普及の理由の一つに、政府の協力もありながらも、地域・住民が主体的に風力発電事業に取り組んでいることが挙げられます。

デンマークでは協同組合に加入し設立予定の風車に出資すると、発電した電気の売却によって得た利益を配当として受け取れる仕組みがあります。

これにより、風力発電自体が「環境に優しい発電方法」だけではなく「副収入を得る方法」としても認知されていることが、設備の増加に影響を与えていると考えられます。

また、デンマークでは2000年より継続して、風力発電に対する資金援助が行われています。2023年にはイギリスと同様、洋上風力発電に対する投資が認められ、さらなる資金導入が進んでいると言えるでしょう。

【大手企業の大規模開発が可能】アメリカ

アメリカでは大手企業が100基単位で大規模風力発電所を建設・運営しているケースが目立ちます。

広大な土地を利用して人里離れた場所で建設すれば良いので、地域住民とのトラブルになりにくく、大手企業による大規模開発が行いやすい環境にあるのが特徴です。加えて、大手企業は資金も潤沢にあるため、風力発電の「導入に多額の金額が必要」というデメリットにも対応できています。

また、アメリカは州ごとに権限がゆだねられているので、それぞれ異なる取り組みが行われています。

今回は、風力発電による発電量がアメリカでも上位に位置している、テキサス州の事例を紹介します。

【適切な投資によってコスト面の課題を解消】テキサス州

テキサス州では、発電電力量の割合として風力発電が20%程度を占めています。これは、テキサス州を国として考えると、主要国を抑えて上位に食い込んでくるほどの割合です。

こうした風力発電の普及の背景には、テキサス州が行った大規模なインフラ整備が関係しています。

テキサス州は

人口が多く、電力需要も大きい南東部人口が少なく、風力発電設備の設置に適した環境がある北西部

と、南東部と北西部で異なる特徴があり、これら二つの地域をつなぐインフラ整備を実施し、需要と供給をうまく結ぶことに成功しました。

また、風力発電設備の大量配置だけでなく、送電網などインフラ面の整備によって生まれた多額の投資額も、消費者の電気代で負担することができたのです。

ここまで見てきたように、風力発電は海外で急速に普及してきていますが、日本での風力発電普及率はどのようになっているのでしょうか。

日本の普及率は0.86%isep 2023年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)を参考に筆者作成

日本での風力発電の発電量割合は2023年時点で0.86%とかなり厳しい結果となっています。3

風力発電自体が注目され始めたのは、2000年代以前とかなり年月が経っているにもかかわらず、なぜ日本と世界ではこのような差がうまれているのでしょうか。

日本で風力発電が普及しない理由

ここでは、日本において風力発電が普及しない理由を考えていきます。

日本で風力発電が普及しない背景には、主に3つの理由が存在します。それぞれ具体的に見ていきましょう。

導入までに時間がかかりすぎる

風力発電を普及させるには全ての意思決定を迅速に行い、非効率性を減らすことが大切です。しかし、日本では台風や季節風、地震などの複雑な自然環境によって、環境評価を厳格に行う傾向があり、それだけでも4年から5年かかってしまいます。

また、1つの意思決定に対して政府機関や土地の管理者、責任者など、複数の関係者を通さなければいけません。さらに、それぞれの手続きが複雑なことも重なり、風力発電の普及を阻害しています。

環境面でハンデがある

ヨーロッパで風力発電が盛んな理由として、偏西風により安定した強い風が年中通して吹いていることも挙げられています。

一方、日本では1年を通して風の強さが安定しません。そのため、風力発電による発電量が予測しづらく、発電事業者にとって不安材料となっています。(発電事業者は消費者の需要に応じた分発電しなければならず、発電量は多くても少なくてもいけない)

また、設備の基礎の部分についても、地震や津波、台風を想定しなければならないため、他の国々の風力発電設備よりも高い耐久力をもった設備が必要になります。

大手企業による大規模開発が進んでいない

アメリカの例からも分かるように、風力発電の「多額の投資額が必要」という課題を解決しようとすると、大手企業による大規模開発は欠かせません。

しかし、日本にはアメリカのような広大な土地がないことから、大規模開発をしようとすると、地元住民による協力が必要です。

また、日本ではヨーロッパのように環境問題に対する意識が高くありません。

そのため、デンマークの例のように住民が風力発電に対して積極的というわけでなく、大手企業と地元住民の間で衝突が生じます。こうしたケースが多いため、日本では大規模な風力発電設備の開発が進んでいないのです。

風力発電を普及させるための政府の取り組み

日本で風力発電を普及させるにあたって、さまざまな課題があることを紹介しました。その一方で、政府もこれらの課題解決に向けた取り組みや政策を行っており、風力発電の普及を目指しています。

特に洋上風力発電へ注目が集まっている

陸地が限られた日本で風力発電を普及させるには、洋上風力発電の導入拡大が必要不可欠です。

台風や地震などの自然への対策を行う必要があるものの、海域に限って言えば、日本の領海と排他的経済水域を合わせた「管轄海域」は世界有数です。

このような理由などにより、2017年に改正された港湾法では規制の合理化がなされ、洋上風力発電の普及を促進しています。4

【重要な3つの改正】港湾法の改正

2017年の改定で重要になるのが以下の3点です。

国が洋上風力発電設備の設置等の基地となる港を指定し、該当する領域を発電事業者に長期間貸し付ける制度を創設国が指定した領域において、発電事業者の希望を募る制度を創設指定領域における占有期間を20年から30年に延長

従来の制度では、洋上風力発電事業を行いたい事業者の申請があるたびに、その区域の担当者が適性を判断していました。

しかし、これでは事業者と自治体の間に以下のような不都合が生じます。

事業者

一律の判断基準がないため、何を重視しているのかが分からない。

異なる自治体に対して申請を出す場合、その都度申し込む必要があり手続きが面倒。

自治体

事業者からの申請があるたびに、適性判断を行う必要があり効率が悪い。

そこで、政府による公募制度が導入されたことによってこれらの問題を解消することができました。

また、占有期間が長くなることで、発電設備の運転と売電に専念できる期間が延長され、より売電事業の利益が見込めるようにもなっています。

2023年には洋上風力発電の準備が整っている区域を発表、同時に事業者の公募も行う

これらの施策もあり、2023年7月、経済産業省と国土交通省は洋上風力発電の促進に向けて、既に一定の準備段階に進んでいる区域として11区域を発表しました。

そのうち「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖(北側・南側)」「千葉県銚子市沖」「長崎県五島市沖」の4区域は、現地の人たちとの調整が進んでいる有望区域と位置づけ、環境(風況・地質)調査の準備を開始するとしています。

その後、2023年6月には「長崎県五島市沖」に整備された洋上風力発電設備を運営する事業者の公募を行い、事業者を決定しました。

このように湾法の改定により、正式に政府が洋上風力発電を行う事業者の公募を行うことで、市場が活性化しており、企業もさまざまな取り組みを行っています。

世界の企業の洋上風力発電に関する取り組み事例

ここでは、世界の企業の取り組み事例を紹介します。

【欧州の風力発電大手も日本に参入】オーステッド

デンマークの大手電力会社オーステッドは、日本風力開発株式会社、株式会社ユーラスエナジーホールディングスとともに、政府の洋上風力発電事業者の公募に参加しました。

オーステッドは、世界各地で洋上風力発電所の開発・設計・建設・運用・撤去の実績を有しており、自然災害を含め、日本とよく似た気象条件を持つ台湾での洋上風力発電経験も備えています。

オーステッド・ジャパン代表取締役社長の笠松純氏は、

日本政府が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を発表したこともあり、洋上風力へのニーズが高く、市場として非常に魅力を感じている。日本は洋上風力の産業がまだなく、世界一の経験とノウハウを生かせる。今後の公募にも積極的に参加していく予定だ

sankeibiz

と語っています。

こうした、世界的な企業が日本の風力発電市場に参入することは、市場の活性化を促すと同時に、風力発電の普及につながります。

オーステッド公式サイト日本企業の洋上風力発電に関する取り組み事例

続いて日本企業の洋上風力発電に関する取り組み事例を紹介します。

【洋上風力発電向けの工場を設立】JFEエンジニアリング株式会社

エネルギーシステムや環境システムなどの設計、建設を行うJFEホールディングスの傘下企業である「JFEエンジニアリング株式会社」は2023年7月に、着床式洋上風力発電設備の基礎部分の部品や材料を製造する新しい工場を建設することを発表しました。

製造される部品や材料は、極厚・大口径・長尺の超重量物で、国内既存工場では製造が困難な大きさであるため、完成すれば国内初の基礎部品製造工場となります。

公式HPによると、2023年5月から建設が開始され、2024年4月より生産が始まる予定です。

また、設備投資額は約400億円と見込んでおり、拡大する洋上風力発電の建設需要に貢献したいと語っています。

JFEエンジニアリング株式会社

ここまで風力発電について詳しく見てきましたが、私たち個人にできることはあるのでしょうか。

風力発電普及のために個人ができること

風力発電の導入には多額の投資額が必要なため、個人ができることは多くありませんが、直接的に関われなくとも、間接的に力を添えることは可能です。

以下で紹介することは、風力発電の普及にあたって欠かせないことになるので、参考にしてみてください。

環境問題において理解を深め、周囲の人に共有する

私たち一人一人の環境意識が高くなることで、風力発電設備の普及促進につながるかもしれません。

ヨーロッパで風力発電が普及しているのは、市民の環境意識が高いことも関係しています。

再生可能エネルギーを利用した発電設備は自然の多い環境に設置されることが多いため、「景観を壊す」などの理由で住民から反対されるケースも少なくありません。

そのため、環境問題に対して理解を深めることで、風力発電設備の導入に対して寛容になることが大切なのです。(もちろん、住民の意見を無視した大規模開発や、騒音などによって健康被害をだしている場合は例外ですが…)

もし、世界の現状を知り、問題意識を持つことができたなら家族や友人など周囲の人たちにも共有してみてはいかがでしょうか。

家庭用の小型風力発電の導入

支柱が15m以上未満で、かつプロペラ先端が60mより高くなければ建築基準法

支柱が15m以上未満であれば、建築基準法で建築確認は不要ですが、プロペラ先端が60mより高くなる場合は、航空法が適用されるため、個人の住宅のように公共性がない場所での設置は不可能だと考えられます。

家庭に導入するのであれば、風力発電よりも太陽光発電の方がコスト・発電量などの観点から考えて導入しやすいと考えられます。

風力発電とSDGsとの関係

最後に風力発電の普及とSDGsとの関係について見ていきましょう。

SDGsとは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17個の目標と、それぞれを達成するための具体的な指標であるターゲットで構成されており、全ての国連加盟国が賛同し、SDGsの達成に取り組んでいます。

風力発電をはじめとする再生可能エネルギーを利用した発電設備を増やすことは、SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に関係しています。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

世界で利用されている化石燃料を利用した発電方法は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大量に発生させるため問題視されています。

また化石燃料は有限であり、供給に対して需要が追い付かなくなることや、地域によっては価格が高騰することも問題です。

地球の環境を守りながら、世界中の全ての人が安定して電力を使い続けていくには、風力をはじめとする再生可能エネルギーの利用割合を増やしていく必要があります。

風力発電の普及は、SDGsが目指している持続可能な開発の実現に欠かせないのです。

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に関係

現在、世界中で氷河の減少、干ばつ地域の増加、記録的な大雨の増加など様々な気候変動による異常気象が問題視されています。

これらの気候変動は、地球温暖化によって引き起こされていると考えられており、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない社会の実現が不可欠です。

これからの社会では、温室効果ガスを排出する化石燃料を利用した発電方法ではなく、再生可能エネルギーを利用した発電方法への移行が望まれています。

風力発電の普及は気候変動への対策として、重要な意味を持っているのです。

まとめ:日本で風力発電を普及させるためには洋上風力発電がカギとなる

アメリカや中国などの国とは違い土地が少ない日本では、陸上風力発電はあまり向いていないとされています。

一方で、日本の持つ広い海域を利用した洋上風力発電が注目されています。

日本独自の課題もまだまだ残っているものの、政府や企業が能動的に動き出し、洋上風力発電の導入に向かっています。

私たちが風力発電の普及に対してできることは、環境問題に対して理解を深めることです。

このサイトではSDGsに関連した環境問題を紹介、説明しているので、他の記事もぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

参考文献1Global wind Report 20232一般社団法人環境金融研究機関デンマーク、昨年2023年の国内発電総量の50%を風力等の再生可能エネルギー発電で達成。2030年のCO2排出量70%削減目標実現に向けて順調に前進(RIEF)3isep 2023年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)4国土交通省港湾法の一部改正について(洋上風力関係)

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